モールテックスの保護剤

モールテックスは防水性がありますが、その表面は石材のように目に見えないちいさな穴が開いています。
この穴に水分と一緒に汚れが入ってしまいます。
それを防ぐために汚れ防止剤を表面に塗布します。

汚れ防止剤は種類によって表面の状態や色合いが大きく変わるものもあります。
施工前にサンプルを作るなど、十分な打ち合わせが必要です。

大きく分けて被膜タイプと浸透タイプがあります。
被膜はニスのように表面に膜をつくり汚れを内部に入れないようにするもの。
浸透性はモールテックスの層のなかで効果を発揮するものです。
順番に説明していきます。

被膜タイプはビピュールとポリタンN120があります。
ビピュールは2液の水性塗料で2回塗り。1回目と2回目の間は十分に乾かしてください。
水回りに使えて艶あり(G)艶なし(S)艶けし(M)があります。
ポリタンは油性の2液塗料で1回塗り。
艶あり(G)と艶けし(M)があります。

浸透タイプはオイルOH、フィニッシュSA、レペルオイルがあります。
オイルOHは植物性のオイルで塗ると濡れ色に固定されます。
キッチン天板などに最適です。2回から3回塗った後、バフかけなどをするといいです。
季節に1回程度(はじめのうちはこまめに)塗り重ねてください。
長く使うことによりモールテックスに栄養をあたえ、経年変化による味わいを楽しめます。
フィニッシュSAは石鹸液です。古くからタデラクトやマルモリーノの保護剤として使われています。
こちらも数回塗り重ねてください。またオイルOHを塗った後の汚れ落としとしても使えます。
見た目はあまり変わりません。
レペルオイルは油性の撥水撥油剤です。
2回x2日、計4回塗ってください。
レペルオイルだけが屋外で使用可能です。

すべての保護剤は塗る回数だけでなく、使用量もきちんと守ってください。
テクニカルデータに推奨する使用量が記載されています。

浸透タイプの保護剤を施工する前に必ずモールテックスを水洗いしてください。
研磨のほこりをとるのはもちろん、水洗いすることによってエフロを発生させてそれを除去します。
可能であればホースで十分に洗い流してください。
施工面をぬらすと水がぬるぬるしてきます。
このぬるぬるが発生しなくなるまで洗ってください。
また1部分だけ濡れたままにしておくとシミが発生しやすくなります。

すべての保護剤の上にワックスを塗ることができます。
ビールワックスを塗ることにより、汚れがワックスで防げます(車のワックスと同じです)。

ベルギーに研修に行ったとき、施工後20年経ったモールテックスを見ました。
保護剤はオイルOHでレストランのテーブルに施工してありましたが、定期的なメンテナンスをしてあるのでとてもきれいでした。
クラックはもちろん、大きな欠けやキズもなく非常にいい状態でした。

保護剤はお客様の好み、施工後のメンテナンス、使用場所によって選び方が変わってきます。
検討を重ね最適な保護剤を選んでください。

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